2021年11月15日月曜日

サヒメル科学探検隊 第4回を実施しました

  10月24日(日)に、島根県立三瓶自然館サヒメルとの共催で、サヒメル科学探険隊の第4回「大学の研究者と一緒に活動!樹木の葉の成長を観察しよう!」を実施し、演習林スタッフと自然科学が大好きな子どもたちが交流しました。

 午前中の一時間目には三瓶演習林を散策し、山下多聞准教授の話を聞きながら、樹木の葉や芽、葉脈ついて学習しました。

 ヤマグワ、イヌシデ、ミズキ、サルトリイバラ、ウリカエデなど様々な樹木を見つけることができました。子どもたちは葉の形をスケッチしたり、紙の上から鉛筆でこすって写し取ったりして観察しました。

 演習林スタッフに樹木の名前や特徴をどんどん質問し、草花や生きものにも目を向けていく子どもたち。好奇心旺盛で小さくても頼もしい探険隊員たちです!

 さて、午後からは、小豆原埋没林公園の施設に移動して二時間目の授業。創作折り紙が得意な技術スタッフの齊藤と一緒に、三瓶に多いイヌシデの葉の折りたたみ方を折り紙で再現し、芽吹いた時に広げやすい葉の収納方法とそのメリットについて考えました。

 折り紙が大の苦手だという子も頑張って挑戦! 折りあがった葉を用いた実験で、イヌシデの葉の折りたたみ方が、省コストで芽吹き後すぐに光合成を行うのに適していることが分かりました。

 また、この葉の折りたたみが、宇宙開発や産業分野で幅広く利用されている“ミウラ折り”に共通したものであるということも学び、子どもたちはパッと開いてすぐ閉じる“ミウラ折り”に興味津々でした。

サヒメル科学探険隊の皆さん、ご参加ありがとうございました。

(授業では、Ask Nature Japan“葉っぱの折り紙”を参考にさせていただきました)


齊藤の折り紙作品の一部はこちらからご覧いただけます。

https://www.facebook.com/shimane.university.forest/posts/2793914140652663


2021年11月8日月曜日

羊毛作家 笠木真衣さんのお話 第5回(不定期連載)

久しぶりにブログを更新します。羊毛作家 笠木真衣さんのインタビューの続きです。

笠木さんは、ちょうど先日、「中国地域女性ビジネスプランコンテストSOERU」で大賞(中国経済産業局長賞)を受賞されました。おめでとうございました。

第5回SOERU各賞が決定いたしました!


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-前回のお話では、手洗いの羊毛には草の種などがついていることもありますが、それは毛がよい状態で生地になっているということでもあり、それもまた味でもあるといったお話でした。そうして手洗いされた羊毛ですが、この羊毛はこの後、どうなるんですか。何に使われるのでしょうか。

笠木:あまり具体的な商品開発を考えずに出しちゃったんですけど、まずブランケットにしてみようかなと思っています。あとはベッドカバーとか。とてもあったかいんですよ、純毛で。羊が-25℃の北海道の大地でも寒くないように生えている毛ですから、とてもあったかいんですよ。夫のジャケットにするために、テーラーに出してみようと思っています。あと、カーテンとかですね。


-カーテンもよさそうですね。こういう模様が。

笠木:調湿機能もありますしね。こういうのが入っている生地ってあるじゃないですか。


-そうですね。点々が入っていて自然っぽいな、という感じがする生地がありますね。

笠木:直接肌にこういうのが当たるとチクチクするかもしれませんけど、そういうものでなければいいですよね。

 使い道は何なのかというよりは、私が大量に羊毛を使ってみたかったという欲望から作ったものだったんです。今まで10年くらい羊毛でいろんなものを作ってみたんですけど、すごく楽しかったです、今回40kgの羊毛を出荷した時は。

原料積み

 普通1年かかって1.5kgの羊毛を服地にするくらいの仕事しかできないのに、機械ってすごいなと。これ3ヶ月で上がって来たんです。ミュール紡績機っていうので紡いでもらったんですけど、ほとんど私が手紡ぎするのと同じ工程を機械がやってくれるんです。これ全部で1万mあるんですけど、全部均一ですごいなって思って。

調合中

 逆に手仕事で均一にするってすごい大変なんですよ。機械の凄さ、ありがたみを感じる体験でもありました。たくさんの羊毛がかっこいい生地になっていいなと思ったり、工場の方にいろいろ教えてもらったり、楽しかったですね。ほんと勉強さしてもらいました。

ミュール工程

-小ロットでもやってくれる工場がよく見つかりましたね。普段から他の作家さんの仕事を受けたりしている工場なんですか。

笠木:いえ、前例はほとんどないようです。私も、いいと言ってくださって、それからその工場で作られている糸を実際に買って自分で手織りしてみて、この方の作る糸はすごいウール愛を感じられる、と言うとおこがましいですけど、すごくウールの特性を捉えたデザインで、素晴らしい紡績糸(工場で紡績された糸)だったんですよ。弾力があり、切れず、デザインも色もかっこいい。すごくウールの力が生きてるって感じがしながら織ってましたね。すごく惚れ込んで、すぐ社長さんに電話して、なんでこんなに素晴らしい糸が作れるんですかって聞いたら、「フフッ、そうかい」って笑ってましたけどね。MWっていうイギリス羊毛100%の糸だったんですけど、本当に素晴らしい糸を、手紡ぎでなくて作れる方がいらっしゃるんだと思いましたね。その時まで工業製品を舐めてたと思うくらい、素晴らしい糸でしたね。この方にお預けすれば、いい糸にしてくださるという思いがあって、それから絶対出荷すると思って2年かかって40kgを集めて、それから送りました。
ミュール工程


-それが笠木さんがご自身のサイトに載せていらした会社ですか。

笠木:そうです。
今回の生地については、三河紡毛という紡績会社の方と山栄毛織という会社の社長さんとのお二人で作っていただいた生地です。織った後もいろいろな工程がありまして、縮絨って言って、縮める、フェルト化させるんですけど、起毛させたり、プレスしたり、いろんな工程を経ることで、かなり雰囲気が変わるんですよね。これも私がこういう生地にしたいとお伝えして作っていただいて、とてもツイードらしい自然な風合いにしていただいたと思います。すごく丁寧にしてくださったんですよね。素材も珍しい素材なので、すごく丁寧に進めてくださいましたし、細かく私の意向を聞いてくださって、割りに合わない仕事だったと思うんですけど、紡績会社の方も毛織り会社の方も、とても親切にしてくださいました。羊毛愛がいっぱいのものができました。

(つづく)