2022年3月11日金曜日

羊毛作家 笠木真衣さんのお話 第8回(最終回)

 三瓶演習林事務所に近い地域にお住まいの羊毛作家 笠木真衣さんへのインタビュー記事も、いよいよ最終回となりました。

 このインタビュー時からだいぶ経ち、その後、笠木さんは様々な賞を受賞されたりもしています。笠木さんの最近の活動については、例えば以下をご覧になるのがよいでしょう。(以下はFacebookをご紹介していますが、TwitterやInstagramにも載せていらっしゃいます)


 Kasagi Fiber Studio https://www.facebook.com/nolifenowool/


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(承前)


-日本人はコットンが好きなように思えますね。


笠木:そうですね。日本人はコットン好きって感じます!身近といえば身近ですね。昔からありますし。

 織りだけやっていると、脳の理性的な部分だけしか使わない感じがするんですけど、私は肌触りフェチなので手触りに癒されるところがあって、羊毛は洗うだけで、自分はすごく満足できるというのが発見でした。形にする部分はなくっても大丈夫で、羊毛を洗ってゴミを取るだけで羊毛をやってる感が味わえて、工場の方は織りを楽しんだと言っておられましたし、どこを楽しむかというポイントがそれぞれ違いますね。

 手触りが好きって気付いてから、音楽とか古い布とかにも癒されるようになりました。


-綿でもシルクでもなく、羊がいいんですね。


笠木:そうなんですよ。中国では羊の毛の匂いを「羊」という字を3つ書いて「せん」っていうんですけど、それって悪臭のたとえなんです。でも私は羊の匂いも好きで、癒しです。ラノリンともまた違う匂いですね。ウール愛ですね、もうここまで来たら。


-お子さんたちは羊をどう捉えているんですか。

笠木:お母さんばかり好きな動物を飼ってずるいー!と言ってます。羊はかわいがってくれてます。乗ろうとしてますね。
 羊は子どもを狙っています。羊は、小さい子を見ると自分より小さい奴がいると思って、こづいて倒してやろうと思っているようです。
子どもがいろんなものを飼いたがるんですけど、自分が羊を飼っているから、ダメって言えませんよね。三瓶地域は楽しいですね。いろんな生き物がいますし。
 飼うといえば、羊を田んぼに放したりしているんですが、山口町のお米は美味しいですよ。気候がいい米ができる条件に合うようで、うちも田があってありがたいです。古民家に田と山がおまけでついて来たんですが、そのおまけがすごい量で。

-住み心地はどうですか。地方暮らしの大変さはありますか?

笠木:人も環境もすごくいいです。移住についての本を読んだりして、戸建ても初めてでしたし、雪の大変さとか、移住で苦労された方の話とか調べていて、それは大丈夫かと思っていたんですけど、山口町のみなさん、すごくいい方で、とても爽やかです。新しい方でも古くからの方でも、分け隔てない感じがします。受け入れてくださってありがたいなと思ってます。
 家も立地もいいし、土地の有力者だった方の家だったので、いい家に住めたと思っています。
 私は不便さは全然気にならなくて、夜が暗い、水が綺麗、空気が綺麗、静かという条件で土地を探していたので、ここは理想的です。魅力を感じる、求めている。都会では得られない。
いなかが合わない人は奥さんの方が先に合わないと感じて都会に帰ったりされますけど、私
 ここに来たいと言って旦那さんについて来てもらったので、いいですよね。引っ越してからの方がいい思い出が多いです。

-海があり、山があり、自然史系博物館があって学芸員さんに聞けたりとか、贅沢な環境ですよね。

笠木:本当にそうです。小学校頃から街暮らしが合わないと思っていて、自然学校に行った時に、こっちの方が空気が美味しい、ひんやりした空気が入ってくる、素晴らしいと思ったり。
自然の物量に圧倒されるというか、いいバランスになっているなと思います。
 移住前に島根に来る時も、飛行機から島根の地形を上空から見て、もこもこした丸い地形がすごくいいなと思って、この風景の中で暮らしたいと思いました。
 みんな遊びに来て欲しいです。