2013年6月19日水曜日

かしわ餅 今頃、ですが…

季節外れの話題で恐縮ですが…

以前に、Twitter(@forest_sh_univ)で、「みなさんのお住まいのところでは、かしわ餅はカシワの葉で包まれていますか?それとも、サルトリイバラの葉でしょうか?」と尋ねてみました。

カシワの葉はこんな葉です。
 
岡山理科大学 植物生態研究室(波田研) カシワ  http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/choripetalae/fagaceae/kasiwa/kashiwa.htm

サルトリイバラのはこんな葉です。


そうしましたところ、東日本にお住まいと思われる方々の反応は、(オーバーに言えば、ですが)、「ププッ、何言ってるの?、柏餅って言うんだからカシワでしょ」という感じでした。
(みなさま、反応していただき、ありがとうございました。)

一方、西日本に住む知人に聞いてみましたところ、ほとんどの方はサルトリイバラとお答えでした。

カシワは西日本にも生えますし、逆にサルトリイバラは東日本にも生えますし、必ずしも両種の分布域のために、東日本=カシワ、西日本=サルトリイバラとなっているわけではなさそうです。

サルトリイバラの葉の方がカシワの葉よりは入手しやすいようにも思いますが…
もっとも、サルトリイバラにしてもカシワにしても、家で使うなら自分で採りに行きますが、和菓子屋さんなどではどこかの問屋さんから仕入れているんでしょうね。

島根では、サルトリイバラの葉を巻いた柏餅を、柏餅とは言わずに、カタラ餅といって売っているところもあるようです。カタラとは、サルトリイバラの地方名です。

出雲のとあるお店では、カシワのかしわ餅とサルトリイバラのかしわ餅の両方を売っていました。右がカシワ、左がサルトリイバラです。
(自分で撮ったとはいえ写真を使ったので、このお店を紹介するページへリンクしておきました。)


葉を開くとこんな感じ。このお店では、葉によって中の餅を変えてるんですね。
このサルトリイバラの葉は大きいですね。


Twitterでは、かしわ餅の葉の香りについてご質問がありました。香りがよいからサルトリイバラを使うのですか、と。
そこで、中の餅をよけておいて、葉だけを嗅いでみました。が、カシワとサルトリイバラに違いはないように思えました。
私が「違いのわからない男」なだけかもしれませんが…
(「違いのわからない男」とか言っても、某コーヒーのCMを知らない若い人には「?」ですよね…)

ちなみに、柏餅の「柏」については、こんな話も。
旺文社の漢字典で調べますと、「柏」とは本来はコノテガシワのことだそうです。国語ではカシワのことでいいそうですが。
じゃあカシワは何なんだと言いますと、「槲(コク)」あるいはその俗字「檞(カイ)」だそうです。
まあ、もちろん「柏」を使えばいいんですけどね。大辞林では最初に「柏」の字が出ています。

もうさすがに柏餅は店に置いていないでしょうね。よかったら、来年、また見てみてください。