2016年11月8日火曜日

GarminGPSのデータをMacに読み込む

Macを使っていますので、今までは「GPSのデータをMacに読み込めないよぉ」とか「GISが使えないよー」とか思っていたのですが、Macユーザーにとっても状況はだいぶよくなっているようです。

Macユーザー歴の長いみなさん、いろいろ苦労して来ましたよねえ、苦労して来ましたよねえ。

今回、ご紹介しますのは、Garmin社のハンディGPSで取ったトラック(軌跡)のデータをMacに読み込む方法です。

ちなみに…こういう内容の記事はネット上にもいろいろありまして、内容の詳しさや詳細に掲載する熱意に感心するばかりです。より深くお知りになりたい方は、そちらをご覧になっていただければと思います。
ここに書いていますのは、半分は自分や同僚のためのメモとしてです。(あと半分は、少しでもこういう情報が目に触れやすくなればと思って書いています。)

以下、図はクリックしていただくと、拡大したものを見ることができます。

ご参考になれば。

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[1]まずMac App Storeで「Garmin BaseCamp」をダウンロードします。少なくとも、この記事の時点では無料です。

[2]Garmin BaseCampを立ち上げ、GPSとMacをGPSに付属のケーブルで繋ぎます。
すると、Garmin BaseCamp上にそのGPSが表示されます。

[3]そのGPSをクリックすると、下の欄にGPS内のデータのリストが表示されます。リスト中のデータをクリックすると、右側の地図欄に、選択したデータが強調表示されます。

[4]また、リストでデータ名を右クリックして「情報を取得」を選択するか、クリックして「command + I」すると、GPSデータの詳細を見ることができます。



[5]また、いずれかのGPSデータを選択した状態で、メニューの「ファイル」から「選択したユーザーデータのエクスポート」を選択すると、GPSデータを書き出すことができます。

[6]ファイルを保存したい任意の場所を選び、GPX形式で保存します。

[追記]2016年12月9日
GarminBaseCampが使えるのは、OS X 10.10以降です。

2016年3月11日金曜日

犯人はおまえだー!

三瓶演習林では1996年から酸性雨の調査を行っていまして、その中で樹幹流(幹を伝って流れ落ちて来る雨)も集めて分析しています。

今年になって、その採水装置の一部が何かの動物(と思われる)によって荒らされるようになりました。

幹に、雨を受ける樋のようなものをウレタンラバー等で作って巻いているのですが、それがこんな状態に。

近くに寄って見ると、噛みちぎられたらしく、ボロボロに…


誰やー! やった奴、出て来んかいー!

ということで、そこで自動撮影カメラを設置してみましたところ、めでたく(?)犯人の特定に至りました。

こちらが犯人です。残念ながら、画像の中心部分が白く飛んでしまっていますが、テンのようです。
何のためにこんなことをしているのでしょうね。


おまえがやっていたのかー! やめておくれよー(涙)


2016年2月2日火曜日

節分に関係する植物と言えばヒイラギですね

 節分が近づいて来ました。節分に関係する植物と言えば、ヒイラギ(柊)。そのヒイラギについて、当演習林の元・技術補佐員である和田慎氏から寄稿いただきましたので、ご紹介します。

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 2月3日は「節分」です。暦のことばとしては季節の移り変わる時、つまり立春・立夏・立秋・立冬の前日の呼び名ですが、「節分」といえば立春前日の「豆撒き」を思い浮かべますよね。

 この行事は、奈良時代より少し前の文武天皇期(在位:697~707)に中国から伝わり宮中で確立した「追儺(ついな)」という儀式が元となっているようです。
 大晦日の夜、悪鬼(鬼に扮装した舎人)を内裏の四門をめぐって追いまわし、殿上人が桃の弓、葦の矢で鬼を射るのだそうです。「おにやらい」とも呼ばれ、奈良時代に寺社の行事として広まったとされています。この行事が民間に広まる過程で、ヒイラギは邪鬼を追い払うために門柱に飾られるようになったと考えられています。

ヒイラギ

 松江市周辺部でも大晦日に豆撒きをする地域(美保関町北浦)、節分の夜にソバを食べる地域(八雲町・忌部町)などが残っていること、豆撒きの後それぞれが数え年分の豆を食べることから考えると、「節分」は迎春、つまり年を改めるための行事だったのでしょう。

 「節分」で使うヒイラギに干しイワシを刺すようになったのがいつ頃かは定かでないのですが、松江の町では昭和初期まで竹串にイワシとヒイラギの葉を挟んだ「ヤイ(ヤエ)クサシ」を売っていたそうです。
 島根町加賀ではカヤの先を裂いて干しイワシを挟んでいたようで、追儺の葦の矢とのつながりを感じさせます。また、八雲町ではサンショウの木を割ってヒイラギの葉と干しイワシを挟んでいたようで、トゲが魔除けに通じると考えられます。(「松江市史」別編2「民俗」参照)

 常緑でトゲのある葉が年間行事の中で重要な例は、ヨーロッパにも見られます。
 クリスマス・ケーキの飾り物でよく見かけるセイヨウヒイラギ(hollywood)は、「ヒイラギ」とは言ってもモチノキ科でヒイラギとは縁の遠い関係です。古代ローマ帝国の時代、冬至前後に行われていた農神祭(サトゥルナラニ)で聖なる木として供えられていたのがキリスト教にも取り込またようです。常緑で赤い実があることから、十字架上のキリストから落ちた赤い血が永遠の命であることを表すのだそうです。(平凡社「世界大百科」セイヨウヒイラギ項要約)。
 最近は中国や朝鮮半島南部に分布するヒイラギモチ(モチノキ科)もクリスマスの飾りとしてよく見かけます。

ヒイラギモチ

 ヒイラギモクセイは、ヒイラギとギンモクセイの雑種とされ、娘のいるお家の生垣として好まれるそうです。

ヒイラギモクセイ

 蛇足です。「恵方巻」の起源をどの時点とするかは難しいですが、1978(昭和53)年に全国海苔貝類漁業協同組合連合会が2月3日を「のり巻きの日」と定めたことは、恵方巻の風習が全国的に広がるのに一役買ったことでしょう。恵方巻の風習は、それはそれでよいと思いますが、イワシの生臭さで鬼を遠ざけようとする考えとはかなりかけ離れているようにも思えます。

2016年1月6日水曜日

門松にも使われるナンテンについて

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

さて、ナンテンについて、当演習林の元・技術補佐員である和田慎氏から寄稿いただきましたので、ご紹介します。

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 謹賀新年
 本年も宜しくお願いいたします。

  お正月、松江城へ行ってみました。本丸御門に置かれている門松がとても豪華でした。


 松江歴史館の門松もきれいに飾られていました。

 特にセンリョウ、マンリョウ、ナンテンの赤が印象的でした。そこでナンテンについてちょっと調べてみました。

 ナンテン(メギ科ナンテン属の常緑低木)は日本、中国中央部に野生種もあるのが知られていますが、日本ではほとんどが庭木として栽培されています。


 平安時代の歌人藤原定家の「明月記」(1180年-1235年)にも栽培の記録があるそうです。(「週刊朝日百科 植物の世界」94 ⑧ P.314)

 姿が美しいことに加え、「難を転じる」めでたい木とされていたようです。特にナンテンを家の周りに植えると火災から逃れられるとして、庭木として広まったようです。戦国時代の武将は縁起を担ぎ鎧櫃(よろいびつ=鎧を運ぶときの箱)の中にナンテンの葉を添えていたと言われています。

 ナンテンの実にはアルカロイドであるドメスティンが含まれ、民間で喘息、百日咳などの鎮咳薬として使われていたそうです。(平凡社「世界大百科」ナンテン項 )
 今でもナンテンの名を冠したのど飴が売られていますね。

 沖村義人著 「樹木の島根方言」(1988) によりますと、旧八束郡や大田市では、ナンテンで小さな瓢箪型のものを作り、麻疹が軽くなるようにと子どもの体につけさせていたようです。
 また、一畑薬師では、中風予防の為にナンテンの箸や杯を売っていたとのこと。これも樹皮にアルカロイドが含まれていたことに拠るそうです。(同書 P.132)

 山陰地方の古民家は便所が別棟になっていますが、手水鉢のそばにナンテンが植えてあり、水が無いときはナンテンの葉で手を揉む習慣があったそうです。 (高齢者からの伝聞)
 おせち料理や赤飯の入った重箱、鯛の塩焼きなど魚料理にナンテンの葉を添えるのも、アルカロイドの抗菌作用に期待するからなのでしょう。